資産形成・家計改善・お金の学びノート
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金利が「動く時代」に突入した今、住宅ローン選びの前提が静かに書き換わっています。2024年の日銀利上げ再開から2026年にかけて、変動金利の基準金利は段階的に引き上げられ、「変動一択でいい」という従来の空気感が揺らぎはじめました。でも「じゃあ固定に乗り換えるべき?」と即断するのも早計です。この記事では、2026年時点のデータをもとに変動と固定の差を数字で整理し、あなた自身の判断軸を作る手助けをします。
2024年3月、日銀はマイナス金利を解除。同年7月と2025年1月にも追加利上げを実施し、政策金利は0.5%水準に達しました。2026年に入っても緩やかな引き上げ基調が続いており、市場の予測値は年内に0.75〜1.0%への到達を見込んでいます。
住宅ローンの変動金利は、短期プライムレートに連動する仕組みです。短期プライムレートは政策金利に追随するため、2024年以降の利上げを受けて主要銀行の変動金利(実質適用金利)は0.3〜0.5%台から0.5〜0.7%台へと切り上がっています。一方、長期固定(フラット35)の適用金利は2025年後半から2026年初頭にかけて2.5〜2.8%前後で推移中です。
数字だけ並べるとこうなります。
| 種別 | 2023年頃の目安 | 2026年5月現在の目安 |
|---|---|---|
| 変動(ネット銀行) | 0.3〜0.4% | 0.5〜0.7% |
| 固定10年 | 1.5〜2.0% | 2.0〜2.5% |
| フラット35(35年固定) | 1.8〜2.0% | 2.5〜2.8% |
※上記はあくまで市場の概算水準であり、各金融機関・審査状況によって異なります。
大切なのは「上がった」という事実より、変動と固定の金利差(スプレッド)がどう変化したかです。2023年時点では変動と35年固定の差が約1.5〜1.7%ポイントありました。2026年現在はそれが約1.8〜2.1%ポイントに拡大しています。つまり固定を選ぶコストはむしろ上がっている、という逆説的な状況です。
サマリーポイント - 日銀の利上げを受け、変動金利は2026年時点で0.5〜0.7%台に切り上がっている - 長期固定(フラット35)は2.5〜2.8%前後で、変動との金利差は約2%ポイント前後 - 「金利が上がった=固定が有利」ではなく、スプレッドの変化を見ることが重要
感覚論をやめて、シミュレーションで考えます。借入3,000万円・35年返済を前提に、金利を複数パターンで試算してみましょう。
ケース①:変動0.6%のまま35年間変わらない(理論値) 月々返済額:約79,000円 / 総返済額:約3,318万円
ケース②:固定2.6%で35年固定 月々返済額:約107,000円 / 総返済額:約4,494万円
ケース③:変動が5年後に1.5%、10年後に2.0%に上昇し、以降2.0%で推移 月々返済額(当初):約79,000円 → 段階的に上昇 / 総返済額:約3,900〜4,000万円(試算)
ケース①とケース②の差は約1,176万円。ケース③でも固定より100〜500万円安くなる計算です。「変動が2%を超えて35年間続く」シナリオにならない限り、長期固定の総支払いを変動が上回ることは数字上、起きにくい構造になっています。
ただし、この試算には2つの前提が埋め込まれています。
サマリーポイント - 借入3,000万円・35年で変動と固定の総支払い差は試算上600万〜1,000万円以上になりうる - 5年ルール・125%ルールは「支払いの先送り」であり、元本圧縮が遅れるリスクを持つ - 差額を運用に回せる人ほど変動の恩恵が大きく、できない人は固定の安心に価値がある
数字では「変動が有利に見える」。でも、これが全員に当てはまるわけではありません。Misakiとして正直に言うと、正解は家計の構造と精神的耐久力によって変わると思っています。
変動が向いている人の特徴を整理します。
逆に、固定が向いている人の特徴はこちら。
後者は決して「負け」の選択ではありません。固定との差額(月2〜3万円)が「安心料」として機能し、その安心が仕事のパフォーマンスや健康を守るなら、IRR(内部収益率)の計算に乗らないところで元が取れています。
サマリーポイント - 変動は返済比率が低く、原資と行動力がある人に向く - 固定は収入の変動リスクが高い人・精神的安定を重視する人に合理性がある - 「安心を買うコスト」も家計の意思決定の一部として組み込んでよい
「変動で組んでいたが、不安になってきた」という相談を周囲からよく聞きます。借り換えを検討する際の判断軸を整理します。
借り換えが合理的になる条件(一般的な目安)
この3つが揃うと、借り換え諸費用(保証料・登記費用・事務手数料など、合計50〜100万円程度)を差し引いても試算上プラスになりやすい構造です。
2026年現在の状況で考えると、変動0.6%から固定2.6%への借り換えは「金利差2.0%ポイント」ですが、これは固定が高い方向への乗り換えです。「将来の上昇リスクをヘッジするために今から固定コストを払う」という意思決定になります。
注意点として、変動から固定への借り換えは金利上昇局面では固定側の金利もすでに上がっているため、タイミングが難しいという現実があります。「もっと上がる前に固定へ」と動くほど、固定の水準も上がっている、という連動があります。
一つの考え方として、変動を維持しながら差額を流動性の高い運用(例:高金利の普通預金や短期の債券ファンドなど)に積み立てておくという方法もあります。利上げが続くなら預金金利も上がるため、変動のリスクを自分でヘッジする発想です。
サマリーポイント - 借り換え検討の目安は「金利差1%以上・残債1,000万以上・残期間10年以上」 - 金利上昇局面では固定金利も上がっているため、借り換えタイミングの判断は慎重に - 変動を維持しながら差額を流動資産として積み立てる「自己ヘッジ」も選択肢のひとつ
私自身は住宅ローンを組んでいませんが、もし今組むとしたらどうするか。正直に言うと、変動で組みつつ、差額をNISAや高金利預金に積み立てるを選ぶと思います。理由は、変動金利が固定の水準(2.5〜2.8%)を超えて35年続く世界線は、少なくとも現時点のシナリオとしては低確率だと判断しているからです。
でも、これは私が独身でローン返済が家計の最重要項目ではない、という前提の話です。子どもの教育費・パートナーの収入・介護リスクなど、変数が多い人ほど固定の「シナリオの単純化」に価値があります。
総支払いを最小化することと人生の複雑さを減らすことは、時に別の答えを指します。どちらが正しいかではなく、あなたの変数に合わせた選択をすることが、後悔を減らす唯一の方法だと思っています。
ローンの条件は必ず複数の金融機関で比較することをおすすめします。ネット銀行・信用金庫・メガバンクでは同じ信用力でも提示金利が0.2〜0.5%異なることがあります。
サマリーポイント - 変動有利の数字は前提次第であり、家計の変数が多い人ほど固定の安心に合理性がある - 「総支払い最小化」と「人生の複雑さ削減」は別の目的関数として存在する - 複数の金融機関を比較し、自分の信用力・属性に合った金利条件を引き出すことが基本
最後に、判断の整理を一覧にします。
変動を維持・選択する場合の確認事項 - 月収に対するローン返済比率が20%以下か - 金利1〜2%上昇時のシミュレーションを自分で計算できているか - 半年〜1年分の生活費を現金で確保しているか - 差額を運用に回せる仕組みがあるか
固定を選択・借り換え検討する場合の確認事項 - 固定金利のコストを「安心料」として家計に組み込んで問題ないか - 借り換え諸費用を回収できる残期間・残債があるか - 収入の不確実性が高く、変動リスクが家計を直撃するリスクがあるか
金利は予測できません。でも、自分の家計構造と向き合う時間は、どちらの選択においても必要な先行投資です。
住宅ローンの選択は、家計の中でもっとも長期間・大きな金額が絡む意思決定のひとつです。この記事が「なんとなく不安」を「構造的に理解できた」に変える一助になれば嬉しいです。
金利比較・借り換えシミュレーションを具体的に試したい方は、複数の条件を一括で確認できるサービスを使うのが時間効率的です。申し込み義務なしで試算できるものも多いので、まず数字を見てみることをおすすめします。
最終更新:2026年5月31日 / 編集:Misaki(複利コンパス編集長) 本記事の金利数値は公開時点の市場概算値です。最新の適用金利は各金融機関にてご確認ください。