資産形成・家計改善・お金の学びノート
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2025年末から2026年にかけて、日銀が利上げ路線を継続しています。変動金利型住宅ローンを組んでいる方、あるいはこれから借りる方にとって、「変動のままでいいのか、固定に乗り換えるべきか」は今まさに判断が求められるテーマです。感情的に動かず、数字で比較すること——それがこの記事の軸です。2026年時点のデータをもとに、30年返済を想定したコスト差と、判断の分岐点を整理します。
2024年3月に日銀がマイナス金利を解除し、2025年に0.5%、そして2026年前半にさらに0.25%の追加利上げを実施しました。これにより政策金利は0.75%前後の水準に到達。この動きが住宅ローン市場に与えた影響は小さくありません。
変動金利は銀行の「短期プライムレート(短プラ)」に連動するため、政策金利の引き上げがほぼダイレクトに反映されます。2024年初頭には最優遇金利で0.3〜0.4%台だった変動金利が、2026年6月時点では0.7〜0.9%台に上昇しています。
一方、固定金利(代表例:フラット35)は長期金利(10年国債利回り)に連動するため、動きは異なります。フラット35の適用金利は2024年初頭の1.8%台から2026年6月時点で2.3〜2.5%前後まで上昇しています。
つまり「変動は上がったが、固定はもっと上がっている」という状況が現在地です。
サマリーポイント
感覚論を排除するために、数字で比較します。借入額3000万円・返済期間30年という標準的な条件で考えましょう。
ケースA:変動金利(現在0.8%、5年後に1.5%へ上昇と仮定)
最初の5年間(60回)は月々約9.3万円。その後0.75%の上昇を反映すると、月々約10.2万円前後に。30年間の総返済額は概算で約3,340万円(利息分約340万円)。
ケースB:固定金利フラット35(2.4%固定)
毎月の返済額は約11.7万円と一定。30年総返済額は約4,210万円(利息分約1,210万円)。
この試算だと、差額は約870万円——変動の方が得に見えます。
しかし、ここで重要な前提があります。ケースAの「5年後に1.5%止まり」が楽観シナリオであること。もし変動金利が2.5%まで上昇した場合、総返済額は約3,760万円に膨らみます。それでも固定より450万円安いですが、毎月の支払いは約13.2万円と当初の1.4倍超になります。
「総額」と「月々のキャッシュフロー」は別物です。月収が変わらない中で返済額が1.4倍になることに耐えられるかどうかが、実はより現実的な問いです。
サマリーポイント
「どちらが得か」より「どちらが自分に合うか」を問うべきです。私がフレームワークとして使っているのは3つの軸です。
軸1:繰り上げ返済余力があるか
変動を選ぶなら、金利が上昇したときに繰り上げ返済でリスクを吸収できる余力が必要です。手元流動性として「3〜6ヶ月分の生活費+繰り上げ返済用の積立」が確保できているなら、変動のメリットを享受しやすい。
軸2:返済期間の残り年数
すでに10年以上返済が進んでいる方は残元本が大幅に減っているため、変動金利の上昇影響が相対的に小さい。逆にこれから35年ローンを組む方は、長期にわたる金利リスクをフルで取ることになります。
軸3:収入の安定性と将来予測可能性
フリーランスや事業収入が変動しやすい方は、返済額も変動する変動金利よりも、毎月の固定費が確定する固定金利の方が家計管理しやすい。会社員で昇給カーブが読めるなら変動でも許容できる場合があります。
私自身はフリーランスなので、収入の変動とローンの変動が重なるのが一番怖い組み合わせだと感じています。これはリスクの「相関」を避けるという考え方です。
サマリーポイント
すでに変動で組んでいる方が「今から固定に切り替えるべきか」を考えるとき、問題は「今の固定金利水準が高すぎないか」という点です。
フラット35の2.4〜2.5%は2016〜2019年ごろの1.3〜1.5%と比べると割高感があります。ただし、2026年以降にさらに長期金利が上昇するなら、今の2.4%は「まだ低かった時代」になる可能性もゼロではありません。
借り換えコストも見逃せません。固定への借り換えには通常、事務手数料・保証料・登記費用などで50〜100万円程度のコストが発生します。仮に月々の返済差が3万円だとすると、借り換えのコスト回収に30〜40ヶ月かかる計算です。残存期間が短い場合、コスト回収前に完済してしまう可能性もあります。
一方で「固定への借り換え」ではなく「変動の上限付きローン(キャップ付き)」という選択肢を提供する銀行も増えています。一定の金利上昇まではキャップが適用される仕組みで、変動の低コストと固定のリスクヘッジを折衷するアプローチです。2026年においては、この第三の選択肢も検討に値します。
サマリーポイント
変動か固定かの選択と並行して、「どう返すか」の戦略も重要です。金利上昇局面における返済戦略を4つ整理します。
① 返済額軽減型の繰り上げ返済
毎月の返済額を下げるタイプの繰り上げ返済。金利が上昇しても月次負担を一定に保ちやすい。ただし期間短縮型に比べて総利息の圧縮効果は小さい。
② 期間短縮型の繰り上げ返済
総利息圧縮効果が高く、金利上昇の影響を受ける残元本を早期に減らせる。手元流動性が十分にある場合に有効。
③ 毎月の返済額を増やさず、ボーナス払いを活用
キャッシュフローを平準化しつつ、臨時収入を元本圧縮に充てる戦略。ただしボーナスの安定性が前提。
④ 投資との両立(返済 vs 運用)
変動金利0.8%の時代には「運用利回り>金利」が成立しやすかったが、金利が1.5〜2%に上昇すると比較対象の確実性が変わります。インデックス投資の期待リターン(長期で年4〜6%程度)との比較は依然として「運用優位」の試算になりやすいですが、「期待値」と「確実性」は別物であることを忘れずに。
サマリーポイント
住宅ローンの変動・固定選択は、正直なところ「将来金利がどうなるかを誰も正確には予測できない」問題です。私が重視するのは、選択の根拠を自分で持てているかどうかです。
「みんなが変動にしてるから」「金利が上がると聞いたから慌てて固定に変えた」——この2つは判断の質が低い。「自分の収入変動リスク・手元流動性・残存年数を確認して、変動のキャッシュフロー悪化に耐えられると判断した」なら変動継続は合理的です。逆に「月次の予算が固定されることで他の資産形成に集中できる」なら固定の割高コストにも意味があります。
数字はあくまで比較の地図です。地図を読んだ上で、自分がどこに向かっているかを確認する——それがローン選択においても資産形成においても、FIRE という長期ゴールに向けた合理的なアプローチだと思っています。
まずは自分の現在の変動金利水準と残元本を確認することから始めてみてください。「今の月次返済額が金利1%上昇したらいくらになるか」を一度試算するだけで、不安の解像度がぐっと上がります。
住宅ローンの一括比較・借り換えシミュレーションは、下記のリンクから無料で試せます。背中を押したいわけではなく、「数字を持った状態で考える」ためのツールとして活用してみてください。
本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。金利水準・制度は変動するため、最新情報は各金融機関の公式サイトでご確認ください。本記事は特定の金融商品・ローン商品の購入・契約を推奨するものではありません。