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住宅ローンの繰上げ返済 vs 投資、結局どっちが得?モンテカルロで結論を出す

2026年5月6日 ・ 複利コンパス編集部

「住宅ローンを抱えながら、月5万円の余剰資金がある。繰上げ返済に回すべき?それとも投資?」

これは家計に余裕が出てきた30〜40代が必ず通る悩みです。インターネット上には「投資の方が利回り高いから投資」「ローンは早く減らすべき」と両論あって、結局どっちが正解なのかわからない。

本記事では、Monte Carlo法を使って3パターン(全額繰上げ / 全額投資 / 半々)の30年後純資産を比較し、迷いを数字で解消します。

結論:「中央値」だけで判断するな

結論を3行で:

  1. 期待値(中央値)だけなら投資が勝つ — 多くのケースで
  2. 悲観シナリオ(p10)では繰上げが安全 — 投資が下振れた場合
  3. 判断基準は「リスク許容度」と「ローン金利水準」に集約される

つまり「期待値最大化したい人は投資、安心優先なら繰上げ、迷ったら半々」が3行サマリーです。

1. 繰上げ返済のメリット・デメリット

✅ メリット

  • 確実に「ローン金利分」を節約(年1%なら年1%確定)
  • 心理的負担が減る(借金は早く返したい)
  • 金利上昇リスクから解放される
  • 失業・病気などの非常時に強い

❌ デメリット

  • 機会損失(投資なら期待値5%)
  • 住宅ローン控除の恩恵が減る
  • 手元流動性が低下(戻せない)
  • インフレ時に「お金の価値」が減る

2. 投資のメリット・デメリット

✅ メリット

  • 期待リターン(年5%)がローン金利を上回る
  • NISAなら運用益が非課税
  • 流動性が高い(必要なら売却できる)
  • インフレヘッジになる

❌ デメリット

  • 下振れリスクあり(p10では繰上げに負ける可能性)
  • 暴落時の心理的ダメージ
  • 投資商品選びの労力
  • 運用コスト(信託報酬)が必要

3. シミュレーション:3パターン比較

条件: ローン残高3,000万円・金利1.0%・残期間30年・月余剰5万円・投資期待リターン5%・ボラティリティ12% / Monte Carlo 1,000本

パターン 中央値(30年後純資産) 悲観 p10 楽観 p90
🅐 全額繰上げ(確定) 約 4,400万円 同左(リスクなし) 同左
🅑 全額投資 約 5,100万円 約 3,600万円 約 7,200万円
🅒 半々(リスク分散) 約 4,750万円 約 4,000万円 約 5,700万円

注目すべきはパターンBの p10(悲観シナリオ)が3,600万円であること。これは「繰上げの確定4,400万円より低い」ということ。つまり**運悪く暴落シナリオに当たれば、投資は繰上げに負ける**のです。

一方、パターンCの「半々」は中央値で4,750万、p10でも4,000万と、「最低保証 + そこそこの伸びしろ」を実現しています。

あなたのケースで試算

住宅ローンコンパスのMonte Carloツールで、自分の余剰額・金利・期間で3パターンの結果を確認できます。

住宅ローンコンパスを使う →

4. 判断基準フローチャート

Q1. ローン金利は何%?

Q2. 月の余剰資金額は?

Q3. 投資への耐性は?

Q4. 住宅ローン控除は活用中?

5. 「繰上げvs投資」の隠れた論点

論点①:金利上昇リスク

変動金利の人は要注意。今は1%でも、10年後に3%になれば「投資の優位性」は完全に消えます。住宅ローンコンパスの「金利ストレステスト」で確認してください。

論点②:心理的コスト

「ローンがある」というだけで毎月モヤモヤする人にとって、繰上げは精神安定剤です。期待値で多少負けても、毎日寝つきが良くなる価値はあります。

論点③:資金拘束のリスク

繰上げ返済した資金は基本的に戻せません。失業・病気で収入が止まった時に「あの100万円が手元にあれば...」となるシナリオは想定しておくべき。

論点④:インフレ

インフレ進行中は「借金の実質価値が減る」ため、繰上げは不利になりがち。一方インフレ抵抗力は株式投資の方が強い。

6. まとめ:迷ったら「半々」

結局、これは「確定の安心 vs 期待値の魅力」というトレードオフ。あなたの性格と家計状況に合った答えを、シミュレーションで見つけてください。

投資判断はご自身の責任で。本記事はMonte Carloシミュレーションに基づく一般論であり、個別の金融商品を推奨するものではありません。

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