「年利5%で30年運用したら○○円になる」――そんな単純な複利計算で資産プランを立てていませんか?
実はその計算、大事な情報を隠しています。それは「リスク」、つまり「悪いシナリオで資産がいくらになるか」という視点です。
本記事では、プロのファイナンシャル・プランナーやヘッジファンドが使う「モンテカルロ法」を、個人投資家向けにわかりやすく解説します。
「月3万円を年利5%で20年運用する」という単純計算をすると、答えは約1,233万円です。
でも、これは「毎年きっちり5%増える」という非現実的な前提に基づいています。
現実の市場はこんな風に動きません。ある年は+30%、別の年は-25%といったように、大きく揺れます。
モンテカルロ法とは、「サイコロを振って未来を1,000通り作り、その分布から確率を導き出す」計算手法です。
名前の由来は、ギャンブルの街「モナコ公国モンテカルロ」。ランダム性を扱う計算手法であることから、こう名付けられました。
同じ条件(月3万・20年・期待リターン5%・ボラティリティ12%)で計算した場合:
| 計算方法 | 資産額 | 解釈 |
|---|---|---|
| 単純複利 | 1,233万円 | 1本の線で予測 |
| モンテカルロ:中央値 | 1,233万円 | 最も起こりやすい結果 |
| モンテカルロ:悲観10% | 720万円 | 不景気が続いた最悪に近いケース |
| モンテカルロ:楽観90% | 2,050万円 | 幸運なケース |
単純計算では「1,233万円」しか見えませんが、モンテカルロでは「720万円〜2,050万円という幅」が見えます。これが「リスクの可視化」です。
単純計算では「1,233万円」しか見えないため、想定外の不景気が来た時に大きく動揺します。モンテカルロなら「最悪でも720万円は残る確率が高い」と事前にわかるため、心の準備ができます。
「FIRE目標額に到達する確率は何%?」を数字で知ることができます。確率80%なら堅実、50%なら危ういと、客観的な指標で判断可能。
「リーマンショック級の暴落が来ても破綻しないか」「インフレ率が上がっても大丈夫か」を、シナリオごとに計算できます。これをストレステストと呼びます。
プロのFP(ファイナンシャルプランナー)は、有料相談でこのモンテカルロを使った試算を提供しています。複利コンパスはこの手法を無料で公開しています。
「90%の確率で○○以上」は「100%確実」ではありません。10%の確率で外れる可能性は常にあります。
計算に使う「平均リターン」「ボラティリティ」は過去データに基づいています。未来も同じとは限りません(金融危機・戦争・パンデミック等)。
同じ期待リターン5%でも、ボラティリティ6%(保守)と18%(積極)では結果分布が全く違います。自分のポートフォリオに合った値を使うことが大切です。
| 運用スタイル | 期待リターン | ボラティリティ |
|---|---|---|
| 債券中心(保守) | 3% | 6% |
| 株+債券バランス(標準) | 5% | 12% |
| 全世界株100%(積極) | 7% | 18% |
「年利5%で○○万円」という単純予測の時代は終わりつつあります。これからは「確率で資産形成を語る」時代。一度モンテカルロを使うと、もう単純計算には戻れません。